ちょっとした行動の
一つひとつをスムーズに。

家事動線以外で大きく変わったのは、朝倉家の玄関です。北側で窓もなく、奥様は帰宅した時の暗さがずっと気になっていました。広さは一般的なマンションの玄関サイズでしたが、「私的には狭かったんです!」と力説する奥様。例えば家族4人で帰宅すると、誰かが靴を脱ぎ終えるのを他の人たちが待たなくてならず、荷物があるときはさらに窮屈に。そこで、できるだけ明るく広くすることをポイントに、玄関まわりも大きくつくり変えました。
まず明るさについては、玄関を入ってすぐ左手にある居室の壁に室内窓を設置。居室の窓から入る外光が、室内窓を通して玄関にも届くようになり、玄関がパッと明るくなりました。ちなみにこの室内窓は、廊下を進んだ先にある別の部屋の壁にも設けてあり、おかげでご自宅全体がだいぶ明るくなったそう。

広さについては、入ってすぐの居室のスペースを少し削り、その分土間幅を拡張。さらに奥行きも延長させ、玄関での渋滞が起こらないようにしました。広くなった土間部分にはもう一つ大きな工夫があり、それは土間の片隅に、歩ける幅の廊下を延長して設けていること。靴を収納に出し入れしたり鍵の開け閉めをしたりする際、土間に延長された細長い廊下を通れば、わざわざサンダルを履かなくて済みます。
玄関ドアの間近まで伸びる細長い框は、家族が並んで同時に靴を脱ぎ履きしたり、脱いだ靴を框に向かって並べたりできる便利なスペース。これにより、家族全員のお出かけや帰宅時の混雑が解消され、玄関に余裕ができました。
その他にも、ドア横には、エアコン配管を隠すためにデザイン性のある斜め壁を設置したり、玄関収納の一部を裏側の家事・洗面スペースとつなげて両側から使えるようにしたりと、細かな工夫が満載の玄関。暮らしの隅々までしっかり気にかけている奥様ならではの、細やかな着眼点が活きた空間になりました。
単身赴任中のご主人の帰宅を
あたたかく迎えるわが家。

基本的に奥様主導でリノベーションを進めていた朝倉夫妻ですが、いざやろうとなったら、ご主人にも暮らしの不満ポイントが一つ思い当たりました。それは、冬の寒さと夏の暑さ。つまり断熱性です。
「これまでの住まいは、寒暖の差がけっこう激しいんですよ。せっかくリノベーションするなら、断熱性まで改善できるところにお願いしたい。だからリノベーション会社を探すときも、キーワードに“断熱”を入れて検索しました」
断熱性能の改善は、快適な住環境を求めるご主人様のこだわりポイント。実績のあるマルリノの断熱特許工法で室内全体の断熱性をこれまで以上に高めました。リノベーションが完了したのは年末のことだったので、その効果はすぐに感じられたと言います。

「家に入った瞬間、寒くなかったのは驚きでした。家事・洗面スペースは一番北側でエアコンもついていないので、さすがにファンヒーターの使用を想定していましたが、それすらも必要がないくらい。以前は床暖房があったので、冬場はそれを毎日つけていましたが、今は床暖房がなくても足元が冷たくない。そうそう、この杉の無垢床も正解でした」
無垢の床にはもともと憧れがありましたが、最初は床暖房を入れようと思っていたこともあり、マストの条件ではありませんでした。ところが杉の特長や心地よさをマルリノから説明されているうちに、せっかくなら杉の無垢床にしようと決めたと言います。
冬の自宅を満たす、暖かな空気。足元からぬくもりを運ぶ、杉の感触。自宅に帰れる日が限られている単身赴任中のご主人にとって、こうした心地よさはなおさらうれしく感じられるものかもしれません。
「早すぎるから」「難しいから」。
それは諦める理由にならない。

「リノベーションをやるって決めてから、気づいたことや不満な点をいっぱいメモしていきました。“やりたいことリスト”にどれだけチェックがついたことか(笑)。でも、メモしたことはけっこう叶ったんですよ!」
ご自身のリノベーションを、そう振り返る奥様。暮らしへのこだわりの強さゆえ、打ち合わせ時間は毎回オーバー。要望を出しても、「これは難しいです」からスタートすることもしばしば。しかしそれでも諦めず、じゃあどうすれば実現するのかを妥協せず探していったと言います。

なぜそこまで一生懸命になれるのでしょう? おそらくそれはリノベーションが、他の誰でもなく、「自分たち暮らし」のためにやるものだから。決められた形の中から選ぶだけでは、最初は気に入ったとしてもいずれ不満が出てくるということを、もう何年も前に奥様は知ったのです。そして暮らしを愛していればいるほど、不満点を放置することができなかったのです。
そんな奥様の想いを知ってか知らずか、築10年目というタイミングでの早期リノベーションに賛成したご主人。暮らしの細部まで気を配る愛情と、この早めの決断は、朝倉家のこれからをきっとより豊かなものへと導いていくでしょう。